とうとう、手付金を支払いました。
あんなに迷って、考えて、パンフレットを何度も見返して、説明会にも出て、イモ夫とも相談してきたあのタワーマンション。
いま、私はそれを「買う」と決めた人になりました。
――いよいよ、キャンセルできません。
手続きのあと、家に帰ってひとりになると、不思議と心が静かになりました。
ふと、「後悔するかな」と思ってみたのですが、拍子抜けするほどまったくなかった。
ああ、これでよかったんだ。
なんの迷いもなかったことに、むしろ自分で驚いています。
今はただ、パンフレットを何度も広げて、間取り図を見つめて、家具の配置を考えたりしています。
「寝室の窓から朝日が入ってきたら、どんな感じかな」
「ダイニングはあそこに観葉植物を置こうかしら」
なんて、つい細かいところまで想像してしまう。
夢は、想像すればするほどふくらんで、現実味を帯びてきます。
そしてそのたびに、あの立地が頭に浮かびます。
あの静けさ、あの駅近の安心感。
私、ほんとうにあそこに住むのね。
営業さんからの「手付金、無事入金されました」の連絡を、今か今かと待っている状態です。
たぶん今日には来るはず。
あの一報が来たら、また一歩、夢が近づく。
きっとまた、少し静かに、でもじんわりと嬉しい気持ちになるんだと思います。
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